鍼治療

鍼通電療法

トリガーポイント鍼治療は、痛みの原因となる部位に直接アプローチする治療方法です。
Cat:Current Acupuncture Therapy(カレント・アキュパンクチャー・セラピー)

鍼通電療法は痛みを主訴とした疾患のペインコントロール(痛みを軽減する)の治療法として応用されています。
急性期、及び慢性的な筋肉の痛みやコリ・過緊張により低下した身体の血行不良に効果を発揮する優れた治療方法です。

緊張した筋肉に鍼通電刺激をして、筋肉を支配している神経を興奮させ鎮痛系を活性化させます。
それによって局所の血流障害が改善され痛みが解消されます。
鍼通電刺激により、骨格筋がリズミカルに収縮します。
通電の強さは、患者様が痛みを感じない程度で最も強くすることでより最良の効果が得られます。
強さは一定ではなく、個人個人の症状、体質、体格、鍼の感受性を十分に考慮し治療しております。

鍼通電刺激は痛みを伴うものではなく、マッサージを受けているような心地良さがあります。
鍼通電療法の効果
  • 筋肉の血行を改善し、筋疲労を緩和させコリをほぐします。
  • 鎮痛系を賦活させ、深部痛覚閾値が上昇します。
  • ホルモンの分泌や自律神経を調節します。
  • 病態把握の結果に対する鍼通電療法の有効例から考えると、臨床において鍼通電療法に期待できる効果は、
      ①末梢循環の促進
      ②鎮痛
      ③自律神経反応

    の3つに絞られます。

    下記5つの通電パターンと、この3つの効果を組み合わせることで患者様の訴えに対応させて頂きます。
      ①骨格筋:筋パルス:鎮痛・筋内循環促進・ 伸張性向上 筋硬結や短縮の軽減
      ②末梢神経:神経パルス:閾値上昇 体性神経の閾値の正常化
      ③椎間関節部:椎間関節部パルス:支配神経 閾値上昇 亜急性捻挫など熱感・腫脹に対する消炎鎮痛
      ④皮下結合組織:皮下パルス:皮膚症状の改善
      ⑤反応点:反応点パルス:上記 4 分類とは別に経験から有用性・ 有効性があると判断した通電部位によるもの

    「鍼麻酔」と呼称されていた時代から 50 年近くになろうとしている現在では、「鍼通電療法」が名称として一般的となっています。 鍼麻酔に代表される鎮痛効果はそのままに、局所循環の促進あるいは自律神経反応を利用した効果が確認され、鍼通電療法は鍼治療法の中の一角を占めるに至っていると考えています。当初は極一部の施術者が用いていた、筋パルス・神経パルス・椎間関節部パルス・皮下パルス・反応点パルスといった分類も知名度を高めていることを実感する。 鍼通電療法の 5 分類の目的を理解し、症状に応用するための充実した情報収集能力を獲得した者は、施術者としての活動の範囲が拡大すると考えています。その理由は、病態把握・臨床推論の能力と高度な通電技術を獲得すると、異なる患者であっても、病態が同様であれば効果はあげられます。つまり、再現性の高い臨床活動が出来るということです。 日本にあるいくつかの鍼治療法の中で、鍼通電療法は最も歴史が短いものであるにも係わらず、 臨床現場での成績には短期間で進歩をとげています。5 分類からも分かるように、かなり単純な発想であるため、適応できて有効な結果を導き出せる症状・病態には限りがありますが、50 年足らずで現段階まで到達できていると言うことは、今後にさらなる期待が持てるものではないかと思っております。

    鍼通電療法の分類

    1. 筋肉パルス

    ⅰ筋緊張:筋・筋膜性腰痛等の筋性の症状に対し、筋緊張緩和を目的に行います。
    ⅱ筋疲労・腱炎:遅発性筋痛や腱鞘炎・アキレス腱炎等腱の付着部痛みに対して、消炎鎮痛を目的に行います。

    骨格筋に存在する原因に関連する病態を対象とします。骨格筋内循環の促進を目的とする場合と、トリガーポイントが存在することにより連関痛の基となっている場合には、鎮痛を目的とする場合があります。骨格筋伸張性の向上については、循環促進の結果に続いて起こるものと考えている。

    1)骨格筋内循環の促進を目的とする場合
    骨格筋内循環の促進の機転としては、筋交感神経の活動性低下による血管拡張、筋肉の収縮後充血、繰り返す筋収縮による筋ポンプ作用があげられます。

    CATによる筋内循環の促進においては筋ポンプ作用によるものが最も大きいと考えています。
    従って骨格筋に通電した場合、収縮と弛緩が交互に起こる周波数の設定が望まれる事になります。

    2)筋の痛みの緩和を目的とする場合
    トリガーポイントによる筋痛やいわゆる “こり”の場合は、まず当該骨格筋内の循環促進を目的とした施術を行って経過を観察します。また、局所のみの鎮痛にこだわらず、全身の痛覚閾値の上昇を期待して実施する場合もあります。

    2. 神経パルス

    頚椎症や坐骨神経痛などの神経根症状がある場合。体性神経の閾値の正常化を目的に行います。
    末梢神経に存在する原因に関連する病態を対象とします。感覚枝を通電対象とした場合は、閾値の上昇を目的とします 。運動枝を対象とした場合は、支配領域の筋内循環の促進を目的とします。運動枝を刺激する神経パルスは、支配領域の複数筋を同時に収縮させる事が出来る。結果的に、運動枝を経由した筋肉パルスとなる。動物実験に於いても、低頻度通電でもわずかではあるが血流の増加は確認されている。

    3. 椎間関節部パルス

    亜急性捻挫などで熱感、腫脹のあるものに対し、消炎鎮痛を目的に行います。

    脊柱の椎間関節部周囲に存在する原因に関連する病態を対象とする。椎間関節部周囲の循環改善・関節部感覚を支配する脊髄神経後枝内側枝の閾値の上昇を目的とするため、椎間関節性腰痛に対応することができます。

    4. 皮下パルス

    皮下結合組織を対象とする。現在のところ臨床的な効果のみの観察にとどまっている。(対象症状はごく局所的なアトピーによる皮膚の問題等)

    5. 反応点パルス

    これは,現段階では解剖学的な組織分類に従うものではなく、経験的に施術効果が得られる通電方法を総称している。CATによる生体反応の一つである自律神経系を介する反応の結果と考えています。
    反応点パルスに対する生体の反応は自律神経系を介したものと考えているが、当然自律神経反応だけでは説明が出来ない現象も含まれています。但し、通電に対する生体の反応には個体差があるために、全ての患者に同様の反応が起こるわけではないのです。また、通電による自律神経反応が患者の有している病態を助長させる場合があるので注意が必要です。反応点パルスは上肢下肢の末端で刺鍼通電を行うが、手指ではなく合谷のような中手骨間に刺鍼をすることが可能な患者であれば、試みるとより反応が起こり易い傾向にあるようです。これまでの経験から個体差はあるが、臨床症状の軽快に寄与出来る疾患・症状としては、本態性高血圧症・反復性扁桃炎の発熱の程度、頻度の改善・気管支喘息の呼吸困難感の解消などである。

    ☆低頻度通電:交感神経機能抑制方向の反応が見られる
    (1)血圧低下(臥位→立位時)
    (2)心拍数減少(安静時・臥位→立位の変化量)
    (3)末梢循環の促進(安静臥位時)
    (4)喘息発作誘発
    (5)反復性扁桃炎発熱予防
    (6)SMON のしびれの軽快

    ☆高頻度通電:交感神経機能亢進方向の反応が見られる
    (1)血圧上昇(臥位→立位時)
    (2)心拍数増加(安静時・臥位→立位の変化量)

    Ⅲ 文献
    1)James Reston: New York Times, Monday July 26.1971.
    (http://www.acupuncture.com/testimonials/restonexp.Htm)
    2)Ronald Melzack, Patrick D Wall: Pain Mechanisms –A New Theory A gate
    control system modulates sensory input from the skin before it evokes pain
    perception and response‑. SCIENCE, 150 (3699); 971-979, 1965.
    3)Patrick D Wall, William Sweet: Temporary abolition of pain in man. SCIENCE,
    155 (3758); 108-109, 1967.
    4)高倉公朋:経皮的電気刺激による除痛法 ―1/f変動の生理学的意義―.脳神経外科,
    10;349-357,1982.
    5)武者利光,高倉公朋,池辺潤:ゆらぎの医学―1/fゆらぎ健康法―.秀潤社,東京.
    1985.
    6)高倉公朋:経皮的電気刺激(TENS).医学のあゆみ,138(9);669-672.
    7)武者利光:揺らぎの発想.日本放送出版協会,東京.1998.
    8)徳竹忠司:低周波鍼通電療法の新たな発想―脈拍検出型通電器の開発―.現代鍼灸学,14
    (1);9-13,2014.
    9)MASANORI KOBAYASHI, TOSHIMITSU MUSHA: 1/f Fuluctuation of Heartbeat
    Period. IEEE Transactions on Biomedical Engineering, 29 (6); 456-457, 1982.
    10)大塚邦明,渡邉晴雄:生体リズムの異常と自律神経:新しい自律神経機能の指標―1/f揺
    らぎとその臨床的意義―.東京女子医科大学雑誌,63(1);40-47,1993.
    11)吉川恵士:鍼麻酔から低周波鍼通電まで.日温気物医誌,57(2);151-166,1994.
    12)菅原正秋,吉川恵士,緒方昭広:低周波鍼通電刺激が感覚神経伝導速度に及ぼす影響.日
    温気物医誌,64(3);150-154,2001.
    13)徳竹忠司ほか:低周波ハリ通電刺激が末梢循環に及ぼす影響.日本生体電気刺激研究会
    誌,11;43-48,1997.
    14)石丸圭荘:腹部外科手術後疼痛に対する鍼鎮痛の効果と内因性鎮痛物質の関係.明治鍼灸
    医学,26;11-22,2000.
    15)Keisuke Takahashi: Effects of Peripherial Nerve Stimulation on the Blood Flow
    of the Spinal Cord and the Nerve Root. SPINE, 11 (13); 1278-1283, 1988.

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